レンダラの役割
雲の形、大気の色、フォグといったシーンを構成する要素となるパラメータを元に描画を行うのがレンダラの役割です。 レンダラパラメータを調整することで様々なシーンに適応する空を作ることができます。 レンダラの調整方法を理解し、思い描いたとおりの空を作れるようになりましょう。
レンダラの実体は ScriptableObject です。レンダラには二種類あります。
Physics Renderer
物理的な挙動に近い雲の描画を行うことができるレンダラです。リニアカラー空間と UniversalRP / HDRP 環境下での動作に適したレンダラとなります。また、レイマーチング特有のアーティファクトが生じにくいよう設計されています。
Stylized Renderer
Massive Clouds Version 4 に搭載されていたレンダラです。Ramp テクスチャを適用できるなどバリエーションに富んだ効果を得られますが、ライティングの計算に一貫性が無いため、リニア、ガンマカラー空間での挙動が大きく変わったり、HDRP のライティング環境下でのパラメータ調整が難しくなっています。
本項では、Stylized Renderer
については取り扱いません。
Physics Renderer の調整
組み込みの Physics Renderer
は、 Renderer/Physics
フォルダ以下にあります。新規に Physics Renderer
オブジェクトを作成することもできます。
レンダラを選択するとインスペクタにレンダラのパラメータを調整するための UI が表示されます。 ここでは、ライティング・スカイボックス・雲・大気散乱・フォグの調整を行います。
AtmosPad
はこのレンダラのパラメータを動的にコントロールすることで動的な環境コントロールを行っているため、一部のレンダラのパラメータを上書きすることに注意が必要です。
Lighting
Cloud Intensity Adjustment
- 雲にあたるライトの影響を微調整します
Sun Lighting
- 太陽として扱うライトは通常自動的に設定されますが、手動でパラメータを決めることも可能です。
Moon Lighting
- 太陽が地平線より下側にあるときのライトを設定できます。シーンに DirectionalLight を置く必要はありません。月として扱う Transform が設定されている場合は自動的にライト方向を Transform に追従させます。
Ambient Lighting
- 環境光も自動で設定されますが、Manual に切り替えて、シーンの状態に合わせて手動で環境光の色を決めたほうが高品質な結果を得ることができるでしょう。
Sky
組み込みのプロシージャルスカイボックスを使用できます。 Camera の Clear Flag
などで描画される SkyBox は上塗りされます。
スカイボックスに HDRI 環境マップを合成することができます。 たとえば,夜間にのみ星空を描画して,リアルな夜空を表現することができます。
Custom Sky
として動作させる場合は、この組み込みスカイボックスを必ず使用してください。Ambient ライティングの計算時にこのスカイボックスのレンダリング結果が使われます。
Cloud
描画する雲を指定します。雲は2つのレイヤーを使用できそれぞれのレイヤーに異なる雲を描画できます。
Main Cloud
- メインとなる雲のレイヤーです。シャフトエフェクトやゴッドレイ・シャドウの描画に影響を及ぼします。
Layered Cloud
- 上層雲の描画を目的としたレイヤーです。影やゴッドレイ効果に影響しません。
雲プロファイルの指定
雲プロファイル
を指定することでレイヤーに雲を適用します。
雲プロファイル
のシェーディングに関係するパラメータはオーバーライドできます。雲の陰はライティング環境によって大きく変化するため、シーンにマッチする雲の表情をつくるためにオーバーライドすると良いでしょう。
スクロールアニメーション
雲のスクロールアニメーションを調整します。スクロール速度と位相を調整することで、うねる雲海のアニメーションや、タイムラプス風のアニメーションを作ることもできます。
Massive Clouds Atmos TimeLapse Demo - Unity2019.3 / HDRP
品質設定
雲を描画する解像度の調整ができます。解像度は実行時の描画品質とフレームレートに大きく影響します。解像度が2倍になると、描画負荷は4倍にも膨れ上がります。ターゲットとなるプラットフォームの GPU パワーと求めるフレームレートを考慮の上調整する必要があります。
Atmosphere
大気散乱(Atmosphere)、スクリーンスペースシャドウ、レンズシャフト、ゴッドレイの調整ができます。 また、大気散乱の雲への影響度もここで調整できます。大気散乱は大気の色と太陽方向の色を個別に強調できます。朝焼けの紫、夕焼けの赤といった特定の環境を恣意的に強調することを目的に設計されています。
品質設定
品質設定では、解像度、レンズシャフト、ゴッドレイの計算制度を調整できます。大気散乱は低めの解像度でも十分な効果を得られるため、なるべく小さな解像度を設定することを推奨します。
Fog
高さ制限付きの Exponential Fog の調整を行います。
Coloring
フォグは色の調整だけでなく、太陽光に対する散乱効果を加えることができます。 例えば、散乱効果を活かして、モノトーンの霧の中に浮かぶ幻想的な景色を作ることも可能です。